経済記者「一線リポート」

脱ゴーン内田社長が説く「日産らしさ」の見えない中身

土屋渓・毎日新聞経済部記者
  • 文字
  • 印刷
日産自動車のロゴ=横浜市西区の日産自動車本社で
日産自動車のロゴ=横浜市西区の日産自動車本社で

 日産自動車は前会長のカルロス・ゴーン被告が率いた販売拡大路線の失敗や、新型コロナウイルスの影響で経営が大きく揺らいでいる。5月下旬の中期経営計画の発表で、内田誠社長は構造改革を断行し、「日産らしさ」を取り戻すと強調した。でも、一体それがどういうものなのか、記者会見では伝わってこなかった。

 「自社の強みに集中し、事業の質と財務基盤を強化し、新しい時代の中で『日産らしさ』を取り戻す」。5月28日に日産が開いた記者会見で、内田社長は「日産らしさ」の重要性を何度も訴えた。

 1999年に経営危機に陥った際は、最高執行責任者(COO)だった前会長のゴーン被告が再建計画「日産リバイバルプラン」を掲げ、大規模なリストラで復活を遂げた。

 しかし、その後のゴーン被告の戦略は裏目に出た。値引きに頼った拡大路線は北米などでブランド価値を傷つけ、インドやロシアなど新興国市場の開拓に資金を投じるため、新型車の開発費を削った。その結果、商品の魅力が下がり、ますます車が売れない悪循環に陥った。

 2018年11月にゴーン被告が電撃的に逮捕され、株価は急落。仏ルノーとのアライアンス問題など混乱に拍車がかかった。そこに新型コロナウイルスが襲った。世界的に自動車の需要は急減し、生産能力を持て余した工場の閉鎖などリストラ費用が膨らみ、20年3月期の連結最終損益は6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)に転落した。

 今回の会見は、そんな窮地の下で開かれた。内田社長は「当社は先進技術に強みがある」「今年は新型ローグなど新車攻勢が始まる」などとして、電気自動車(EV)や独自のハイブリッド技術「e-POWER」を主力に…

この記事は有料記事です。

残り763文字(全文1463文字)

土屋渓

毎日新聞経済部記者

 1977年、ドバイ生まれ。2002年早稲田大法学部卒、毎日新聞社入社。水戸 支局、東京本社学芸部などを経て14年から経済部。証券業界、日銀を担当。16~17年 は大阪本社経済部で電機メーカーなどを取材。18年に東京経済部に戻り、経産省など を担当。20年4月から製造業、商社・流通、重工業、財界などを取材するグループの キャップ。