藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「日本にコロナ第2波は本当に来る?」藻谷氏の考察

藻谷浩介・地域エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
人口当たりの陽性判明者数を低位に抑えているオーストラリア(メルボルンの都心商店街、2018年12月20日、筆者撮影)
人口当たりの陽性判明者数を低位に抑えているオーストラリア(メルボルンの都心商店街、2018年12月20日、筆者撮影)

 新型コロナウイルスの毎日の陽性判明者数がおおむね60人程度と、4月中旬の10分の1になった日本。入院中の患者数も最悪期の10分の1となったが、一方で「秋以降の“第2波”到来に備えて」と多くの人が口にするようになった。はたして日本に“第2波”は本当に来るのか。世界各国の対応を見ながら、この問題を考える。

 この特別連載の第3回で紹介した国立感染症研究所の調査「新型コロナウイルス SARS-CoV-2 のゲノム分子疫学調査」によると、1月に中国人観光客が持ち込んだウイルス(中国経由・第1波)は2月中に封じ込められたが、3月に欧米から帰国した日本人の持ち込んだウイルス(欧米経由・第2波)が感染拡大した。

 欧米経由のウイルスは、中国経由のものから遺伝子変異したものなので、同研究所のリポートにもあるように、両者は第1波と第2波に区別されるべきである。従って、次に日本に大きな感染拡大があるなら「第3波」ということになる。だが、今の日本の「第2波到来に備えて」という問題提起では、第2波と同じウイルスがはやるのか、再度変異したものがはやるのか、区別された議論は聞かない。

 同じ欧米経由の第2波のウイルスが再度感染拡大することはあるのか。「気温が下がるとコロナの感染力も高くなる」という論文もあるが、封じ込め不能なレベルにまでなるとは限らない。南半球で今寒くなっている豪州やニュージーランドの数字を確認してみよう。

 図の通り両国では、秋から冬に向かうなかで、むしろ感染が収束してきた。両国は5月から段階的に経済活動を再開しているが、クラスター(感染者集団)対策などの封じ込め手法は、当然ながら寒くなろうと…

この記事は有料記事です。

残り1825文字(全文2525文字)

藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。