
新型コロナウイルス感染症は緊急事態宣言が解除され、従来のようにオフィスに出勤する人が増えています。そうした中、私が産業医を務める外資系企業の総務担当・菊地さん(仮名、男性)から「熱中症になった社員がいる」と相談を受けました。
通勤中に体調不良
熱中症は、体が暑さに慣れない時期に起こりやすいと言われます。急に気温が上がった時は注意が必要です。梅雨が始まる時期、近年では5月下旬から熱中症になる人が増え、8月にピークを迎えます。
菊地さんは「緊急事態宣言の解除後、社員がオフィスへの通勤を再開しました。6月に入ってすぐ、50代の男性社員が朝の通勤中に駅で体調不良を起こし、病院に運ばれました。熱中症だったそうです」と話しました。
この企業は海外との取引があるため、その対応で深夜まで残業をする人が少なくありません。この50代の社員は、海外とのオンライン会議が重なり、熱中症になる前の数日間は帰宅時間が午後10時を過ぎていたといいます。
保つべきオフィス環境
熱中症は、屋外の炎天下にいる場合に多く起こる傾向がありますが、室内にいる場合や、通勤時間帯などの朝晩の少し涼しいときにも起こり得ます。睡眠不足や前日の飲酒、朝の欠食が熱中症を引き起こす要因としてあげられます。高血圧などの循環器系の基礎疾患や糖尿病の人は、脱水になりやすいため十分に気をつける必要があります。
菊地さんからは「熱中症になった社員は睡眠不足が重なっていたようです。今回は通勤中でしたが、社内で起こらないとは限りません。気をつけることはありますか?」と…
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