MRJが世界を飛ぶ日

コロナ苦境「スペースジェット」開発トップ刷新の意味

平野純一・経済プレミア編集部
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6月末で三菱航空機を去るアレックス・ベラミー最高開発責任者
6月末で三菱航空機を去るアレックス・ベラミー最高開発責任者

 三菱航空機でスペースジェット(旧MRJ)開発の中心的な役割を担ってきた、アレックス・ベラミー最高開発責任者が6月末で退任する。今後は、7月1日にチーフエンジニア兼技術本部長に就く川口泰彦氏へ実質的にバトンタッチする。

 新型コロナウイルスの感染拡大で航空業界が大きな影響を受けたことで、三菱重工業は今年度、子会社・三菱航空機によるスペースジェットの開発費を600億円程度とし、昨年度から半減させた。1800人程度の人員も大幅に削減する予定だ。三菱航空機は今後、現在開発中のM90(90席級)の型式証明取得を最優先に業務を行っていく。

 ベラミー氏退任の理由について、三菱航空機の説明は以下のようなものだ。ベラミー氏が担ってきたのは、M90の開発全般と、M90に続くM100(70席級)の開発と事業化調査。しかし、三菱重工は市場環境の変化でM100開発の一時凍結を決めた。当面の優先目標はM90の型式証明取得になったため、米国での試験飛行で中心的な役割を果たしてきた川口氏をチーフエンジニアに据え、型式証明の取得に全力を傾ける布陣にする--ということだ。

 2016年3月にベラミー氏は三菱航空機に入社。イギリス人だ。前職はカナダ・ボンバルディアでCシリーズ(100~140人乗り、現在はエアバスに売却しA220)の飛行試験マネジャーを務め、型式証明の取得に携わった。ボンバルディアの前はイギリスの防衛航空宇宙関連企業・BAEシステムズに勤めている。

 ベラミー氏が入社した当時、三菱重工の社長は宮永俊一氏(現会長)で、納期の遅れを繰り返していた三菱航空機に半ば業を煮やしていた。宮永氏は経験豊富な外国人の力…

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平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。