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コロナ自粛疲れ「リベンジ消費」の効果は8月まで?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
消費の行方は……(首相官邸に入る西村康稔経済再生担当相)=2020年6月26日、竹内幹撮影
消費の行方は……(首相官邸に入る西村康稔経済再生担当相)=2020年6月26日、竹内幹撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大によって出されていた緊急事態宣言が5月中に解除され、6月以降、経済活動のスピードが徐々に上がってきた。その様子をみると“コロナショック”からの立ち直りは、意外に早いかもしれないと思わせる。では、大きな痛手を受けた消費は、このまま一本調子で回復が進んでいくのだろうか。

7月上旬には10万円給付金行き渡る

 最近、話題になるのが「リベンジ消費」だ。これまで我慢してきた欲求を一気に満たそうという消費行動を指す。レジャーや遊興・娯楽の支出は、そうした動機を背景に、7月以降大きく盛り返しそうだ。

 もう一つ、リベンジ消費の背景には、1人10万円の特別定額給付金の効果もある。総務省の発表では、6月5日時点の支給総額は3.85兆円だったが、6月24日には8.56兆円と給付がかなり進んでいる。

 総額は12.73兆円なので、6月24日時点では67.2%の進捗(しんちょく)率である。筆者の計算では、7月上旬ごろには総額12.73兆円のほとんどが国民に行き渡る。仮に、その給付金を皆がすぐに使ってしまうとすると、6~7月の消費統計には、給付金による消費刺激効果が大きく表れることになるだろう。

 給付金の20%が新たな消費支出に回ると仮定して、その効果を推定すると、追加的な消費支出の増加は2.5兆円になる。年間ベースでは、そのインパクトは実質国内総生産(GDP)を0.5ポイント押し上げる効果しかない。ただ、あえて6~8月の3カ月の四半期を想定して前期比年率換算で実質民間最終消費支出を試算すると、3ポイント強の押し上げになる。

「消費は強い」と勘違い

 米国では、5月の小売売上高…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。