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“5Gで先行”中国が次に狙う米国の牙城「クラウド」

エコノミスト編集部
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 5G(第5世代移動通信システム)で世界をリードする中国が次に狙うのは、現在は米国が圧倒的に強い「クラウド」分野だ。この最前線の戦いとは。週刊エコノミスト7月7日号の巻頭特集「狂った米国 中国の暴走」より、ジャーナリストの高口康太氏のリポートをダイジェストでお届けする。

 米商務省は5月15日、中国通信機器・端末大手ファーウェイへの制裁強化案を発表した。1年前の制裁では、米企業による製品やサービスの供与を禁じ、第三国企業であっても一定以上の比率で米国由来の技術が含まれた製品は供与できないとした。新たな制裁案は、米国製の製造装置を使って製造された半導体の、ファーウェイへの輸出を禁止する。ファウンドリー(半導体受託製造)大手の台湾TSMC(台湾積体電路製造)とファーウェイのつながりを断つ狙いだ。

 米国はなぜ、これほど執拗(しつよう)にファーウェイを狙うのか。

 過去10年近くにわたり、技術がもたらす成長を主導してきたのはスマートフォンなど「モバイルインターネット」だった。今、次なる技術トレンドの主導権をめぐる争いが激化している。ファーウェイが世界トップの技術力を持つ5Gが一つの柱だが、それだけではない。

 ファーウェイはもともと自らの事業を「コネクト」、すなわち通信と規定していた。その企業姿勢を示す言葉に「上はアプリに触らず、下はデータに触らず」がある。クライアントのデータにはノータッチで企業秘密を侵さぬように配慮し、各種アプリの開発はパートナー企業の縄張りとして侵犯しない。真ん中の通信だけに特化する、という意味だ。こうしたすみ分けを守ることが高成長の後ろ盾となってきた。

 だが、現在は「…

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エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。