
会社員のA夫さん(58)と妻でパートのB江さん(57)は「リタイア後の生活が不安」という理由で私のところに相談に来ました。A夫さんは60歳の定年後は継続雇用で65歳まで働く予定です。ただ、年に1度送られてくる「ねんきん定期便」に記載の年金見込み額では生活が心もとないと言います。
年金をベースに生活設計
A夫さんとB江さん夫婦のそれぞれの「ねんきん定期便」の見込み額は合わせて年299万円です。月約25万円で、税金などを差し引くと手取りで月約21万円です。年金の繰り下げ受給も選択肢に含めて、老後の生活設計を考えたいそうです。
まず、A夫さん夫妻の状況を確認しました。A夫さんの現在の手取り年収は約605万円で、生活費は月約50万円です。B江さんのパート収入の年80万円はすべて貯蓄しています。子供が2人いますが、すでに独立しており、住宅ローンも60歳で完済する予定です。貯蓄額は、見込みの退職金約1000万円を含めて、60歳時点で約1800万円です。
老後の生活費は、下の「老後設計の基本公式」で計画していくことができます。公的年金をベースに、それまでの貯蓄や退職金、私的年金である確定拠出年金などを含めて計算します。
1年間の取り崩し額 =(時価の資産額 - 最晩年想定資産額)/ 想定余命年数
「1年間の取り崩し額」に「公的年金(企業年金などがあれば加算)」を足せば「年間の生活費」になります。
老後の生活費を計算する
現在、A夫さんが想定している65歳でリタイアした場合で、具体的に月の生活費がいくらになるかを計算してみました。
65歳時点の時価の資産額は約2200万円と想定します。そのうち終身保険が夫婦それ…
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