ベストセラーを歩く

マルチな文化の水先案内人が論じる「日本文化の核心」

重里徹也・文芸評論家、聖徳大教授
  • 文字
  • 印刷
 
 

 日本文化の特質とは何か。繰り返し考えられてきた問いだろう。グローバル化が進む現代ではとりわけ、多くの人が直面する課題だ。文化にとどまらない。政治や経済はもちろん、人の生き方やビジネスにもかかわってくる問題のはずだ。

 松岡正剛の「日本文化の核心 『ジャパン・スタイル』を読み解く」(講談社現代新書)は、数千年の歴史を持つ日本文化の底に一貫して流れているものを見据えた一冊だ。話題は多岐にわたり、さまざまな示唆やヒントに満ちている。

 松岡は1944年生まれ。早大仏文科で学んだ後、工作舎を設立し、アートから思想まで幅広く扱う雑誌「遊」を出版して編集長として活躍した。工作舎退社後は芸術や思想、生命哲学など多方面に及ぶ思索を情報文化技術に応用する「編集工学」を提唱。数多くの美術展やテレビ番組の企画、多くの著作で知られている。

 私は無料のサイト「松岡正剛の千夜千冊」をときどき楽しんでいる。古典から現代文学まで毎回、1冊を取り上げて、わかりやすく解説してくれる。総合的知識人として、文化の水先案内人として、卓抜な個性がうかがえるサイトだ。

 松岡は、日本文化の正体を「変化するもの」と指摘する。信仰も文学も…

この記事は有料記事です。

残り912文字(全文1412文字)

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。