経済プレミア・トピックス

パリダカの名誉は今は昔?「独自ハイオク 実態は混合」

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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ENEOSとコスモ石油が共同出資する西日本の油槽所では、出光のタンクローリー(右端と左端)もガソリンを調達している=2020年6月18日、遠藤浩二撮影(画像の一部を加工しています)
ENEOSとコスモ石油が共同出資する西日本の油槽所では、出光のタンクローリー(右端と左端)もガソリンを調達している=2020年6月18日、遠藤浩二撮影(画像の一部を加工しています)

 石油元売りや業界団体が「独自技術で開発し、独自ルートで供給している」と説明してきたハイオクガソリンが、スタンドに出荷する前段階で他社製と混合されるケースがあることが毎日新聞の取材で判明した。なぜこんなことが起きるのか。ハイオクをめぐるガソリン販売の実態はどうなっているのだろうか。

 「パリダカールラリーで三菱自動車がパジェロに新日本石油(現ENEOS=エネオス)のハイオクガソリン『ヴィーゴ』を使おうとしたら、性能が高すぎて国際自動車連盟(FIA)にストップをかけられた。燃費性能が通常より3%も高かったからだ」

 2000年代初頭、エネルギー業界担当の記者だった私は、新日本石油の担当者から、そんな自慢めいた開発秘話を聞いた。

 当時は国内でハイオクの販売競争が激しかった。02年に当時の新日本石油が「エネオスヴィーゴ」、昭和シェル石油(現出光昭和シェル)が「シェルピューラ」という新商品を発売した。いずれもエンジン内の洗浄効果と燃費向上がセールスポイントだった。

 パリダカでパジェロが他メーカーのガソリンより3%燃費のよいガソリンを使ったら、長距離を走るラリーではかなりの差が出る。それでは競技として不公平になるため、主催者のFIAが使用を認めなかったというのだ。

 新日本石油はこのエピソードを宣伝などに使わなかったが、ライバルたちに「エンジン内部がきれいになり、燃費や加速性能が向上する」などとアピールした。

 ハイオクは標準仕様のレギュラーよりも「オクタン価」の高いガソリンを指す。オクタン価とは、異常燃焼でエンジンの動きがぎくしゃくする「ノッキング現象」の起こりにくさを示す指数のことだ。

 オクタン価が高いガソリンほど…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部