
4月に本格サービスを始めた楽天モバイルが、旗艦モデルとして自社企画で出したスマートフォン「楽天ミニ」の周波数を利用者に無断で変更した。事態を重く見た総務省は、楽天モバイルに対して経緯の報告を求め、行政指導などを検討していく構えだ。
問題の経緯は次のようなものだ。1月の発売当初、楽天ミニは楽天モバイルが運用するLTEの「バンド3」と呼ばれる周波数帯に加え、大手通信事業者3社が持つ「バンド1」にも対応していた。この対応周波数を、同社は5月に出荷したものを2回変更し、3番目のバージョンで「バンド1」を削除した。仕様表は変えず、利用者に対する告知もしなかった。
楽天モバイルは変更の理由について、当初の楽天ミニは北米で通信するための対応周波数が十分ではなく、これを追加した際に、端末の能力の問題でバンド1を削らざるをえなくなったとしている。
電波が通じにくくなるおそれ
携帯電話などの電波を発する機器の多くは、混信などの通信障害を防ぐため、「技適」(電気通信事業法に基づく技術基準適合認定、電波法に基づく技術基準適合証明の二つ)と呼ばれる総務省の認証を取得することが定められている。楽天ミニは、周波数変更後も当初の技適をそのままにしており、総務省はこれを問題視した。
総務省への報告の過程で、1月に出荷した最初のバージョンに周波数変更後の認証情報を表示していたことも発覚。これも技適の要件を満たしていなかった。楽天ミニには全部で三つのバージョンがあるが、結果的に2番目のものしか認証が正しくなかった。
これは電波利用のルール違反の疑いがある行為で、単に手続き上の問題があるだけでなく、楽天モバイルは…
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