産業医の現場カルテ

「深夜勤務の50代男性」高血圧になった3大要因は?

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
  • 文字
  • 印刷
 
 

 産業医の重要な業務の一つに、従業員の健康診断の結果から就業の可否を判定することがあります。あるとき、私が産業医を務める、飲食チェーンの従業員約200人分の結果を見ていました。その中で、深夜勤務をすることがある加藤さん(仮名、50代男性)の健診結果に目が留まりました。急いで対応が必要と考え、面談しました。

 加藤さんは最高血圧が165、最低血圧が105で、高血圧でした。正常域の血圧は、最高が120~129、最低が80以下です。日本高血圧学会が公表している「高血圧治療ガイドライン」によると、高血圧の人は脳血管障害や心不全などの重大な病気につながるリスクが高く、加藤さんは早めに治療する必要があると考えました。

 高血圧は多くの場合、症状が出ずに進行しますが、まれに頭痛や肩こりなどの自覚症状が出ることもあります。ただ加藤さんは「自覚症状はありません。これまで高血圧だと言われたこともないです」と言います。一方、仕事では顧客対応でプレッシャーを感じることがあり、「閉店前の深夜帯に顧客とトラブルがあると、寝付きが悪かったりしてすっきりと眠れないときがあります」と話しました。

 加藤さんは喫煙習慣があり、トラブルなどでストレスを感じると1日20本ほどたばこを吸うといいます。たばこに含まれるニコチンは、血圧を上げることが知られており、高血圧の症状をさらに悪化させ…

この記事は有料記事です。

残り969文字(全文1548文字)

佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。