
古参IT企業の富士通とNECがデジタル化の波に乗って息を吹き返している。その理由を探った。週刊エコノミスト7月14日号の巻頭特集「コロナが迫る 非接触ビジネス」よりお届けする。【エコノミスト編集部=種市房子】
NECは過去最高益を更新
事業統廃合や経営不振にあえいだNEC、富士通がデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル化による事業・企業変革)を追い風に好調だ。両社には「DX」と「外部人材登用」という二つのキーワードが共通している。
NECの2020年3月期の連結最終利益は999億円。前年同期比152%増という驚異的な伸びで、23年ぶりに最高益を更新した。
19年に買収したデンマークの大手IT企業「KMD」連結化や、ウィンドウズ7サポート終了によるパソコン買い替え特需という20年3月期ならではの増益要因があるが、高速無線通信5G関連の光通信向け設備や、医療・自治体向けを中心としたITシステムの売り上げ増が寄与した。18年に実施した3000人規模の人員整理や不採算事業の見直しなども寄与した。
富士通も同時期の連結最終利益は同53.1%増の1600億円。過去最高益(18年3月期の1693億円)に迫った。こちらもウィンドウズ7サポート終了によるパソコン特需もあるが、官公庁・民間へのITシステムの売り上げ増が寄与した。
同社は15年ごろから、半導体や携帯電話端末製造など大量生産・納入で勝負するビジネスを「価格変動が大きい」として縮小し、付加価値の高い事業を拡大する方針を掲げている。ITシステム事業は、顧客要望を聞いてカスタマイズしたシステムを提案・納入し、相対で価格を決める…
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エコノミスト編集部
藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。