ニッポン金融ウラの裏

コロナで透けた金融機関の「ご都合主義と誠実な対応」

浪川攻・金融ジャーナリスト
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外国人観光客が訪れず、閑散とする大阪市の黒門市場。シャッターが下ろされた店も目立つ=2020年6月18日、加古信志撮影
外国人観光客が訪れず、閑散とする大阪市の黒門市場。シャッターが下ろされた店も目立つ=2020年6月18日、加古信志撮影

 新型コロナ禍のなか、中小・零細企業の資金繰り問題が解消していない。金融庁は公的な制度融資を活用して積極的に資金繰りに対応するよう、金融業界に求めている。その状況下で、首をかしげたくなる事態が発生している。ただ、それとは正反対で、思わず「立派」と言いたくなる取り組みも行われている。その両方を紹介したい。

 中小零細企業の資金繰り対策として、信用保証協会による保証(通称、マル保)が活用されている。信用力が低い企業に金融機関が融資する際に使われ、「マル保付融資」と呼ばれている。コロナ禍で積極活用されているが、このマル保付融資の目標数値を、営業現場に具体的なノルマとして設定している金融機関がある。

 新型コロナ対策融資の状況を金融庁に報告することになっており、その実績を積み上げるためにノルマ化しているようだ。だが、これは本末転倒だ。マル保付融資であれば、借り手が返済不能に陥っても金融機関に損失は出ない。どれだけ積み上げてもリスクは増大しないというご都合主義的な感覚が透けて見える。

いわき信用組合…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。