メディア万華鏡

コロナ禍で盛り上がる「家族の絆」ブームの不気味さ

山田道子・元サンデー毎日編集長
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コロナ禍のステイホームでメディアでは「家族」が注目されている
コロナ禍のステイホームでメディアでは「家族」が注目されている

 こんなところにも「家族」が! クレジットカード・ダイナースクラブの会員誌「SIGNATURE(シグネチャー)」7月号の特集。国内外の景勝地を取り上げる特集が多かったが、今回は「家族のかたち」。

 「時ならぬ『巣籠もり』を余儀なくされた暮らしの中で、『家族』のあり方をあらためて見直した人も多かったはず」と、フォトグラファーらが自らの家族を写真と文章でつづる。

 その一人、フォトグラファーの馬場わかなさんは「この4月のステイホーム期間は、こんなにも親子で過ごす時間があるのはなんと貴重なことだろう」と気づき、家族の日常生活にカメラを向けた。「年齢とともに変わりゆく形をその都度おもしろがって、味わっていきたいものだと思っている」と記す。

 ステイホームで家族と過ごす時間が長くなったり、アベノマスクや10万円の特別定額給付金が世帯単位で給付されたりし、コロナ禍でクローズアップされたものの一つが「家族」だ。新聞などの見出しにも「家族」がたくさん登場するようになった。

 例えば、毎日新聞7月1日朝刊の「論点新型コロナ」は、ずばり「家族を考える」。東レ経営研究所の宮原淳二さんはテレワークの影響を評価。「増大した『家族の時間』を前向きに生かし、家族の絆を大事に、コロナ禍の中でも家族の安心安全をともに守っていきたい」と語る。

 一方、森山至貴・早稲田大文学学術院准教授は、ステイホームで幸せな「家族の時間」を享受できたのは、コロナ禍でも収入のそれほど減らない、比較的恵まれた家庭だけだったのではとして、「多数派の普通の家族」からこぼれおちる人たちへの想像力が欠けた政府の「家族単位のコロナ対策」を批判した。

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。