藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「県別コロナ感染者数の差は何を示す?」藻谷氏の視点

藻谷浩介・地域エコノミスト
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鹿児島市街地と桜島(2020年6月24日、筆者撮影)
鹿児島市街地と桜島(2020年6月24日、筆者撮影)

 国内の新規陽性判明者数は、ゴールデンウイーク明けから1日100人を切っていたが、6月末より再び100人を超えている。だがあわてる前に、全国の数字だけでなく、地域別の数字も確認してみてはどうだろうか。

 北九州市と広島市。ともに人口100万人前後の工業都市で、新幹線なら50分の距離だ。海沿いの狭い平地に、工場と繁華街が集積し、住宅が丘陵地をはい上る都市構造も似ている。しかし7月6日現在の新型コロナウイルス陽性判明者数の累計は、北九州市が252人に対して広島市が86人と、3倍近く違う。同じウイルス、同じ国内でなぜ差が出るのか。

 筆者のような医学が専門ではない者がコロナ問題を分析することに対し、いろいろ批判をいただく。だがむしろ、感染症の知識だけで、個別の地域特性に対する知見なしに、国内外双方で地域差の大きいコロナ禍の現実を読み解くことはできないのではないか。

 図は、国内の各都道府県と一部の大都市の感染状況を示したものだ。7月6日までの陽性判明者数の累計を、人口100万人当たりに換算することで、どの程度ウイルスが蔓延(まんえん)しているか、いないかが一目瞭然になる。

 図中には、同じく7月6日時点でのいくつかの外国での感染の水準を、全国平均とともに横線で示した。これにより、日本を全国合計の数字でひとくくりで語ることの危うさがわかるだろう。世界でも特筆すべき低いレベルに感染を抑え込んだ台湾に匹敵する多くの地域から、感染拡大中の南アジア(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、ネパール、ブータン)に相当する東京特別区まで、同じ日本でもたいへんな地域差があるのだ。

 他方で…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。