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「石炭中毒」の汚名返上なるか 日本は本気で脱炭素を

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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海外で日本の石炭火力発電に反対する学生ら=スペインで2019年12月7日、高木香奈撮影
海外で日本の石炭火力発電に反対する学生ら=スペインで2019年12月7日、高木香奈撮影

 「日本は石炭中毒」。昨年末の気候変動に関する国連会議「COP25」で、国連のグテレス事務総長は日本を念頭に「石炭中毒」と批判しました。石炭は化石燃料の中でも二酸化炭素(CO2)を最も多く排出するので、地球温暖化を最も進めてしまうからです。

 日本はその石炭火力発電を、国際的な批判にもかかわらず、過去十数年にわたり国内外で推進してきました。これではいくら温暖化対策を実施しても効果は上がりません。いわば、温暖化対策にブレーキをかけ続けているようなものだからです。

ようやく日本政府も削減へ

 そんな中、7月3日と7月9日に相次いで、日本政府は長らく固執してきた石炭戦略を転換する方針を発表したのです。7月3日には国内の石炭火力について、経済産業省が「2030年までに非効率な石炭火力発電のフェードアウトを確実にする」と発表しました。

 7月9日には、政府の21年以降の海外インフラ輸出計画である「インフラシステム輸出戦略」をめぐり、石炭火力の海外輸出については「支援しないことを原則」とすることが発表されたのです。ようやく日本政府も国内外で石炭火力削減の方向へかじを切ったのです。

 特に海外への石炭火力の輸出を「支援しないことを原則」にすると方針転換したことは評価に値します。「動かざること山のごとし」。どれほど国際的に非難されても方針を変えなかった日本が、とうとうパリ協定に沿った世界の潮流に逆らえなくなり、方針転換に踏み切ったのです。

 日本では石炭の使用が1990年以来一貫して増え続けてきました。石炭は安くて世界各地にあり、輸入しやすいからです。石炭利用を規制する法律もなかったため、石炭火力発電…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。