海外特派員リポート

スタバを抜いた「中国ラッキンコーヒー」が落ちたワナ

赤間清広・毎日新聞中国総局特派員(北京)
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ラッキンコーヒーの成長の秘訣(ひけつ)は持ち帰りを主軸にしたことだった=北京市内で2020年7月11日、赤間清広撮影
ラッキンコーヒーの成長の秘訣(ひけつ)は持ち帰りを主軸にしたことだった=北京市内で2020年7月11日、赤間清広撮影

 創業からわずか2年で米スターバックスを追い抜き、中国最大のコーヒーチェーン店に成長した「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」が不正会計に揺れている。その背景を探ると、中国のスタートアップ企業がはまりがちな「わな」の実態が見えてくる。

 ラッキンコーヒーは2018年1月に北京に第1号店を出店。約1年で出店数を2000店舗に拡大し、19年には中国で圧倒的なシェアを誇っていたスターバックス(中国の店舗数約4300店舗)を抜き、4500店舗の出店を達成した。

 急成長の秘密はテイクアウトを主軸に据えた斬新な経営戦略にある。注文、支払いはスマートフォンアプリで完結。テイクアウト主体のため店舗スペースは最小限で済み、ケーキ店など既存の店舗の一部を間借りして営業することも可能だ。

 毎日のように割引クーポンを発行して客の「お得感」をあおり、一気に人気を定着させた。19年には米ナスダック市場に上場。絵に描いたようなサクセスストーリーを歩いてきた。

 しかし、この時すでにラッキンコーヒーは「わな」にはまっていたと言っていい。

 中国のスタートアップはアイデア勝負のビジネスモデル先行型が多い。しかし、創業直後はうまくいっても、その後は衰退をたどるケースが少なくない。

 創業段階で新ビジネスが話題になると、将来性を期待した投資家が一斉に群がり、巨額の資金が転がり込んでくる。企業はこれをシェアの拡大や料金の割引サービスにつぎ込んでいく。後追いで次々と参入してくるライバルを駆逐し、中国市場を「寡占化」するためだ。

 一方、「先行投資」の名の下に採算性は度外視される。収益は「寡占化」の実現後にゆっくり回収すればいいとい…

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赤間清広

毎日新聞中国総局特派員(北京)

1974年、宮城県生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。経済部では財務省、日銀、財界などを担当した。16年4月から現職。中国経済の動きを追いかけている。