熊野英生の「けいざい新発見」

「コロナPCR検査」と「90年代不良債権処理」の類似点

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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新型コロナウイルス感染防止対策について記者会見する西村康稔経済再生担当相(左)と東京都の小池百合子知事=東京都千代田区で2020年7月10日、喜屋武真之介撮影
新型コロナウイルス感染防止対策について記者会見する西村康稔経済再生担当相(左)と東京都の小池百合子知事=東京都千代田区で2020年7月10日、喜屋武真之介撮影

 新型コロナウイルスの新規感染者増加の勢いが衰えない。このまま増え続けると経済活動について何らかの規制や自粛要請が再び出されかねない。筆者は、6月3日のこのコラムで、PCR検査(遺伝子検査)の徹底こそが経済復活の道だと書いた。その考え方を基に、再び現在の状況を見たい。

 東京都では、6月中旬以降じわじわと新規感染者数が増え始め、7月10日は243人と過去最高になった。この理由は、経済の再開によって新規感染者が増えたからではないかと思わせる。

 ただ東京都は、4月のころよりもPCR検査数を増やし、1日3000~4000件も実施したからだと説明する。重症患者は着実に減少しており、状況は4月とは違うとも説明している。PCR検査の件数を増やせば、一定の確率で感染者が発見されるから、絶対数としての新規感染者は増えるという理屈である。

 感染拡大の原因の一つに、無症状者が多くいて、その人たちが活動することで、見えにくいところで感染が広がってしまうことがあるとされる。無症状者から、再び無症状の感染者が生まれてしまうと、経済活動の再開とともに感染が拡大するのは自然だろう。やはり、経済活動の再開は大きな要因であるはずだ。

 6月3日のコラムでは、バブル崩壊後の1990年代に、金融機関が不良債権を抱えて経営不安に陥り、それが経済全体を冷え込ませた問題とよく似ていると指摘した。当時の対策は、大手行に徹底した特別検査を行い、それに応じて資本増強を行うことだった。

 今回筆者はさらに、不良債権の検査をするから不良債権が増えるという負の側面を、しばらくの間は我慢しなくては、その先に不良債権の減少が見えてこないという…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。