人生に必要な「おカネの設計」

50代夫婦「年金受給繰り下げ」で老後のお金は安心か

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
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 会社員のA夫さん(58)と妻でパートのB江さん(57)夫婦は、95歳までお金の不安なく暮らすために、私と相談して老後の生活費を計算しました(前回参照)。A夫さんが60歳で定年となり、65歳まで継続雇用で働いて、その後に年金を受け取るケースで、「老後設計の基本公式」で計算した結果、想定する老後の生活費は月約26万円でした。

 一方、現在の生活費は月約50万円です。家計を見直すことで、老後は月約33万円に抑えられることがわかりました。ただ、想定する生活費の月約26万円を大幅に上回っています。A夫さん夫妻は、少しでも働きながら年金額を増やすために繰り下げ受給を検討したいと言います。今回は、繰り下げ受給をする場合について考えます。

 今回の年金改革法改正で、繰り下げ受給開始の上限が70歳から75歳に延長されました。原則は65歳ですが、年金受給の開始時期を選べる範囲が広がり、60~75歳の間になります。

 原則の65歳から受給開始時期を早めるのが「受給の繰り上げ」です。これを選択すると受給を開始する年齢に合わせて年金額が減ります。受給開始を1カ月早めるごとに0.5%ずつ減額します。ただ、減額率は2022年4月から1カ月0.4%に改定されます。

 一方、原則の65歳から受給開始時期を遅らせるのが「受給の繰り下げ」で、受給開始の年齢に合わせて年金額が増えます。受給開始を1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額します。上限の75歳に…

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岩城みずほ

ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、オフィスべネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、中立的な立場で顧客の利益を最大限にするコンサルティングを実践し、講演や執筆活動も行っている。著書に「人生にお金はいくら必要か」(共著、東洋経済新報社)、「やってはいけない!老後の資産運用」(ビジネス社)などがある。