人生100年時代のライフ&マネー

年金75歳受給で84%増へ「手取り」だとどうなる?

渡辺精一・経済プレミア編集部
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 5月末に成立した年金制度改革関連法で公的年金を受け取り始めることのできる年齢の幅が広がり「60~75歳」から選べるようになる。65歳から繰り下げるほど毎月受け取れる年金額が増え、繰り上げるほど減る。選択肢が広がるのを機に、老後設計にあう受け取り方法を考えたい。

 公的老齢年金は65歳から受け取れるが、現在、受給開始時期は「60~70歳」から自由に選べる。

 65歳より繰り下げる場合、1カ月遅らせるごとに毎月の年金額(額面)は0.7%増える。70歳まで5年間遅らせれば42%増だ。逆に、繰り上げる場合、1カ月早めるごとに0.5%減り、60歳に前倒しすれば30%減る。繰り下げと繰り上げは国民年金(基礎年金)と厚生年金で別々にできる。

 法改正で、2022年4月から、この仕組みが2点変わる。

 第一に、繰り下げは75歳まで可能になる。増額率0.7%は変わらず、75歳まで遅らせれば毎月の年金額は84%増える。

 第二に、繰り上げの減額率は1カ月あたり0.4%に縮小する。60歳まで早めれば毎月の年金額は24%減で、現行より減り幅は抑えられる。

 見直しは、働く高齢者が増えていることに対応し、それぞれの事情に合わせ、選択の幅を広げる狙いだ。

 繰り下げや繰り上げは、年金財政に影響がないように増減率を設定している。毎月の年金額は増減しても、平均寿命まで生きれば受け取る総額はほぼ同じになる。平均寿命は伸びており、繰り上げする場合、繰り上げ期間に受け取る年金額が生涯年金額に占める割合は小さくなったため、減額率を縮小することにした。

 最近は繰り下げや繰り上げの「損得」が話題になりやすい。「人生100年時代」が意…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。