
神奈川県逗子市で2020年2月、市道に面するマンション敷地内の斜面が崩落し、歩いていた女子高校生が土砂に巻き込まれて死亡する事故があった。
この事故で、女子高校生の遺族が6月、このマンションの区分所有者に対し、安全対策を怠っていたとして、総額1億1800万円の損害賠償を求めたと報道された。さらに、遺族はマンション管理会社の代表を業務上過失致死の疑いで、マンションの区分所有者を過失致死の疑いで神奈川県に刑事告訴した。
外壁タイルや給水タンクも凶器に
このように、マンションの敷地内には、思わぬかたちで人や物に危害を与えるリスクが潜んでいることがある。マンションがある日突然、凶器となる可能性もある。
近年、よくニュースになっているのが、マンションの外壁タイルが落下する事故だ。台風や地震の影響でタイルが剥がれ落ち、通行人にけがをさせたり、駐車中の車を破損させたりするケースだ。
また、地震や台風などで、敷地内の植栽や、屋上に設置されている給水タンクやアンテナなどが倒れ、事故につながる事例もある。
マンションは、管理会社が日々の管理を担っている。もし、マンションの建物や設備が人や物に危険を及ぼす可能性があるとわかった場合、管理会社から連絡や改善提案があると、管理組合は期待するだろう。
だが、残念ながら、その対応は管理会社や担当者の資質によるところが大きい。実は、管理会社はあらかじめ問題点に気づいていたが、管理組合に伝えられていなかったというケースは珍しいことではない。
「積極的に教えない」管理会社も
なぜだろうか。それは、管理会社が分譲会社の関連会社であることが多く、分譲会社にとって…
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