高齢化時代の相続税対策

73歳女性「亡母から継いだ賃貸ビル」底地は誰が買う?

広田龍介・税理士
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 N子さん(73)は、東京都心の一等地に333平方メートルの土地を借り、その土地で5階建ての賃貸ビル業を営んでいる。ビルはN子さん所有の会社名義で店舗や事務所がテナントになっている。

 最近、地主に不幸があり、その相続人から「底地を買ってくれないか」と打診された。N子さんは応ずるつもりではいるが、購入する土地の名義を、会社にするかN子さん個人にするかで悩んでいる。

 この土地はもともと1975年にN子さんの母親が借りたものだ。母親は個人名義でビルを新築して賃貸ビル業に乗り出し、87年には会社を設立して会社名義にした。96年に母親が亡くなり、相続でN子さんがそのまま借地契約と会社を引き継いだ。

 N子さんは、母親がビルを会社名義にした理由や経緯についてよく知らない。このため、底地を買い取るのは、会社がいいのか、N子さん個人がいいのか、判断がつかない。

 N子さんが個人で底地を購入すれば、借地権も個人名義なので、土地は完全所有権となる。その土地の上に会社名義のビルがあるという、わかりやすい関係になる。

 一方で、賃貸業は会社が行っているので、会社が底地を購入したほうがいいのではないかとも考えている。だが、そうなると、底地と建物は会社名義で、その間に個人名義の借地権があるという、まるでサンドイッチのような状態になり、権利関係が複雑になる。それで何か問題はないだろうか。

 さらに、ビルは築45年と老朽化しており、多額の修繕工事をして事業を続けていくべきなのか悩んでいるところだ。また、N子さん自身も高齢となり、そろそろ自分の相続対策も進めなければいけない。いろいろなことを考えないといけないため、どう…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。