ニッポン金融ウラの裏

国内アセットマネジメント業界「非効率」という金縛り

浪川攻・金融ジャーナリスト
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 資産運用業(アセットマネジメント)は「わが国の金融分野に残された成長領域」と期待されてきた。しかし、その一方、国内の大手資産運用会社の多くが銀行や証券会社の系列子会社であり「顧客の利益より、グループの収益を優先しがちだ」との批判が根強い。

 資産運用業とは、顧客(主に機関投資家)から資金を預かって運用し、運用の手数料を収入とする業態だ。国内大手といえば、野村アセットマネジメント、大和アセットマネジメントなど大手証券の系列会社や、三菱UFJ国際投信、三井住友DSアセットマネジメントといったメガバンクの系列会社がある。

 金融庁は6月、資産運用業の現状と課題に関する報告書を公表した。「資産運用業高度化プログレスレポート2020」である。この報告書で指摘されているのは、やはりガバナンス(企業統治)、経営体制、業務運営体制に関するものだった。報告書は金融庁のホームページに掲載されている。興味のある方はチェックしていただきたい。

 そこで、この業界の課題を違う角度からみてみたい。グローバルに展開するある半導体関連企業の経営者が語ってくれたことである。厳しい国際競争にさらされているだけに、同社の株価は右肩上がりの基調ながら、上下に激しく動く傾向がある。

 同社には、資産運用会社の調査担当者が定期的にヒアリングにやってくる。最近も、ある国内大手運用会社の担当者の来訪を受けた。この運用会社は、同社の株式への投資実績がほとんどなかったので、その理由を尋ねた。すると、次のような答えが返ってきたという。

 「投資する銘柄は、私たちの調査結果に基づいて社内の選定委員会で議論しています。しかし、議論が長期化して…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。