名家のルーツ

仙台で発展したローカル百貨店の雄「藤崎」の藤﨑家

森岡浩・姓氏研究家
  • 文字
  • 印刷
仙台を代表する商店街「一番町」にある藤崎本館=2020年7月9日、神内亜実撮影
仙台を代表する商店街「一番町」にある藤崎本館=2020年7月9日、神内亜実撮影

 百貨店は冬の時代を迎えている。特に地方では次々と百貨店が閉店し、山形県のように県庁所在地に百貨店がなくなったところもある。そうした中、東北で最大都市の仙台市を代表する商店街「一番町」には、北の端の仙台三越に対して、南側の端に藤崎がある。藤崎は地方百貨店として古い歴史を誇る仙台の老舗だ。

 老舗百貨店のルーツは呉服商であることが多い。藤崎も仙台城下で栄えた呉服商から発展した。仙台城下の商人は、伊達家が積極的に誘致したこともあり、近江商人で占められていた。藤崎の祖は、諸説あるが、近江商人であることが最も自然だ。同社によると、さらに時代をさかのぼれば、陸奥国津軽郡藤崎(青森県藤崎町)か甲斐国都留郡藤崎(山梨県大月市)のどちらかにたどりつくと推測されるという。

 江戸時代の1819(文政2)年、3代目治右衛門の五男、祐助が分家し、初代の「三郎助」を称して木綿や麻の織物を扱う太物商「得可主屋」(えびすや)を創業した。当初は間口が3~6間(約5.4~10.8メートル)の店だったが、この店が後の百貨店「藤崎」となる。

 以来、治右衛門の経営する本家を「得治」、三郎助の分家を「得三」と呼んで区別したという。得三を継いだ女…

この記事は有料記事です。

残り985文字(全文1493文字)

森岡浩

姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。