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ゲリラ豪雨から人を守る「地下鉄の堤防」対策あれこれ

土屋武之・鉄道ライター
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雨水が流れ込み、浸水した営団地下鉄丸ノ内線=赤坂見附駅で1993年8月27日午後7時40分
雨水が流れ込み、浸水した営団地下鉄丸ノ内線=赤坂見附駅で1993年8月27日午後7時40分

 7月3日以降、九州地方などを襲った集中豪雨は、鉄道にも大きな被害を及ぼした。JR九州の久大線や肥薩線、第三セクターのくま川鉄道では橋が流失し、運転再開には数年単位の時間が必要と見られている。

 同じく九州では、2017年7月の豪雨で路盤流失の被害を受けた日田彦山線(JR九州)が、被災区間の復旧を断念し、BRT(バス高速輸送システム)に切り替えることが正式に決まった。

 都市部でも近年、「ゲリラ豪雨」が頻発するようになり、河川の氾濫などによる低地での浸水被害が常に懸念される。台風も大型化の傾向があり、高潮対策の徹底が求められている。

 立体交差で下をくぐる道路など、低いところに水が集まるのは当然だ。では、そのさらに下を走る地下鉄は安全なのだろうか。もしホームで電車を待っているとき、トンネル内に水が流れ込んできたらと誰しも懸念するだろう。これからの季節は特に危ない。

 実際、1993年8月の台風11号では、当時、工事中だった溜池山王駅から水が流入し、隣の赤坂見附駅の線路部分が約1.5メートルも水没した。14時間にわたって不通が続くという大きな事故だった。当時の営団地下鉄と都営地下鉄は、このことなどを教訓に「トンネル内に水を流れ込ませない」対策をより徹底するようになった。

 東京の東部、江東区や江戸川区などには、いわゆる「海抜ゼロメートル地帯」が広がっており、水害を受けやすい地形だ。東京メトロでは東西線、都営地下鉄では都営新宿線などが通っている。

 地下鉄への浸水対策の基本は「地上で食い止めること」だ。より低い水圧のうちに対応できることや、水が引いたあとの復旧が容易であることが理由だ。

 そこで…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。