
「(小池百合子東京都知事は)嘘(うそ)をつき、約束を破り、公約を実現しなくても激しい批判を受けることなく、有権者に選ばれる。それは彼女が女性だからなのか」――。20万部突破の記録的ヒットとなった「女帝 小池百合子」(文芸春秋)の著者、石井妙子氏は「文芸春秋」8月号への寄稿でこう問いかけている。
同著は小池氏の生い立ちからカイロ大学留学時代、テレビ界から政界への転身、政界で有力政治家を渡り歩き上昇してきた人生を100人以上に取材し、多くの資料に当たり白日の下にさらした。
政治家としての資質に疑問を投げかけ、不誠実さを広く世に伝えると同時に、そんな彼女を誕生させたのは日本社会の男女差別構造にあると指摘した。同著をめぐってはさまざまに語られたが、その点については女性のほうが敏感だった気がする。
「日本の男たち」あぶりだす
LINEで50人ぐらいに「読んでみて」と一斉連絡したという作家の林真理子氏は、石井氏との対談で「この本、小池さんの学歴詐称疑惑のことは一部で、小池百合子さん的なものに非常に甘い、日本の男たちの姿があぶりだされていますよね」と喝破。日本の男性は、スキルや業績より容姿や自己アピール力で女性を選ぶということで両氏は一致する(週刊朝日7月10日号)。
ネットメディア「Business Insider Japan」統括編集長の浜田敬子氏は石井氏へのインタビューで、「私自身、男女雇用機会均等法の直後に就職して、偏見や差別もありましたが、女性が少数ということでメリットも享受してきた部分もあったと思います。私たちの世代の女性たちは自分のどこかに『ミニ小池百合子』がいる」と吐露…
この記事は有料記事です。
残り977文字(全文1674文字)
山田道子
元サンデー毎日編集長
1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。