産業医の現場カルテ

オフィスの騒音に「集中できない!」産業医の対応は?

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 工藤さん(仮名、男性)は、従業員数約60人のITシステム会社の総務部員で、会社の「衛生管理者」でもあります。この会社の産業医を務める私は先日、工藤さんから「職場の騒音について従業員から苦情がある」と相談を受けました。従業員の健康や働きやすさに関わることなら、放っておけません。詳しく聞きました。

 私がこの会社の産業医になってから日が浅く、月に1度の会社訪問のタイミングでした。工藤さんは従業員から「サーバーの音がうるさくて仕事に集中できない。耳に悪いのではないか」と相談された、と言います。

 たしかに、サーバーのファンが回る音やディスクにデータを書き込む「カリカリ」という音がオフィス内に響いていました。オフィスは手狭で、サーバーを他の場所に移す資金的な余裕はないようです。工藤さんは対応について悩んでいました。

 衛生管理者の役目は、作業環境に関する調査や改善を行い、産業医と協力して従業員の健康管理をすることです。常に従業員が50人以上いるオフィスで、衛生管理者免許(1種または2種)保有者を選任して労働基準監督署に届け出ることが、労働安全衛生法で定められています。

 この会社は近年、急速に従業員数が増えたことから、衛生管理者と産業医を選任して、安全衛生に関する環境整備を進めていました。私は、会社のこうした動きを従業員に知ってもらうためにも「衛生委員会」を活用するよう、工藤さんに提案しました。

 衛生委員会はオフィスなどの衛生管理について調査や審議をする場で、職場の課題を解決するのに役立ちます。国は、常に従業員が50人以上いるオフィスで月1回以上行うよう定めており、オフィスの責任者となる管理職、衛生管理者、社員代表、産業医といったメンバーで構成します。議事録は従業員に公開することが義務づけられている…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。