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これはもう「財政ファイナンス」黒田日銀政策をただす

エコノミスト編集部
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 財政の「打ち出の小づち」と化した中央銀行の政策は、やがて物価上昇を引き起こし、国民の生活を直撃する懸念がある。週刊エコノミスト8月4日号の巻頭特集「コロナ株高の終わり 中央銀行の罪」より、熊野英生・第一生命経済研究所首席エコノミストのリポートをお届けする。

 安倍晋三首相は、コロナ対策のために2020年度第1次・第2次補正予算を打ち出したとき、「過去最大の事業規模だ」と誇らしげに語った。普通の国であれば、税収の当てのない巨大な歳出増になることは、国債価格下落、長期金利上昇への警戒から首相が積極的にアピールしたりはしないだろう。

 日銀は、イールドカーブ(利回り曲線)操作(YCC)を実施して長期金利をゼロ%にくぎ付けにする対応を取っており、それが政府にとって金利上昇を警戒せずに資金調達できる役割を果たしている。財政拡張を日銀が側面支援している格好だ。

 日銀がすでに、財政支出の資金を中央銀行が供給する「財政ファイナンス」に近いことを行っているとみる市場関係者や報道関係者は少なくない。特に、4月27日に国債の買い入れ上限を撤廃してからは、政府の資金調達に日銀が無制限に協力している懸念が強まった。

 日銀の政策決定後の定例記者会見では、財政ファイナンスの認識が度々質問されている。しかし、黒田東彦総裁は、質問に対して、「金融政策の一環として国債を買っているだけで、財政支援をしているわけではない」と従来の返答を繰り返す。6月16日の会見では、財政規律について問われて、「政策主体(政府と国会)に対して失礼だ」と回答した。会見を視聴していて、筆者はこの回答に強い違和感を覚えた。

 記者が問題視してい…

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エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。