経済プレミア・トピックス

ハイオク問題「シェア9%」市場縮小は言い訳になるか

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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レギュラーより約10円高いハイオクは1980年代から開発競争が進んだ=東京都内で2020年7月28日、川口雅浩撮影
レギュラーより約10円高いハイオクは1980年代から開発競争が進んだ=東京都内で2020年7月28日、川口雅浩撮影

 石油元売り各社が「独自技術で開発し、独自ルートで供給している」と説明し、高い清浄機能や低燃費を売り物にしていたハイオクガソリンが、どうして各社共同の貯蔵タンクで混合されたり、バーター取引されたりするようになったのか。

 それには日本の自動車市場の変化と石油業界が抱える事情がある。

 ハイオクは1980年代、日本車の性能向上と外国車の普及とともに需要が高まり、石油元売りの商品開発が進んだ。ハイオクは標準仕様のレギュラーより「オクタン価」の高いガソリンで、圧縮比の高い高性能エンジンに用いることができる。

 当時、トヨタ自動車がソアラにDOHCエンジン、日産がスカイラインにターボエンジンを搭載するなど、日本車の性能が向上した。外国車も関税引き下げと85年のプラザ合意以降の円高で相対的に安くなり、BMW、アウディなどドイツ車を中心に輸入が増えた。いずれも高出力エンジンはハイオク指定が多かった。

 このため石油元売りは日本石油(現ENEOS=エネオス)が「ダッシュレーサー100」、出光興産が「金アポロ」、昭和シェル石油(現出光昭和シェル)が「フォーミュラシェル」などを発売。宣伝合戦を繰り広げた。

 ハイオクはレギュラーよりリッター当たり10円ほど高く、元売りにとって収益性が高い。80年代後半のバブル期には「シーマ現象」など高級車ブームも起き、ハイオク市場は活況を呈した。

 クルマのハイパワー競争とともに、ハイオクもコスモ石油が92年に「スーパーマグナム」を投入するなど、しばらく開発競争が続いたが、90年代後半以降、しだいに下火になっていく。

 それは97年にトヨタがハイブリッドカーの初代プリウスを発売するなど…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部