経済プレミア・トピックス

「今や唯一」シェルの独自ハイオクも風前のともしび?

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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出光昭和シェルの「V-Power」は今も独自性を守る唯一のハイオクだ=東京都内で2020年7月28日、川口雅浩撮影
出光昭和シェルの「V-Power」は今も独自性を守る唯一のハイオクだ=東京都内で2020年7月28日、川口雅浩撮影

ハイオク混合のなぜ(5)

 ガソリン販売に占めるハイオクの割合は1990年の約15%から2018年は約9%に低下した。多くの石油元売りはコスト削減のため、ハイオクの独自開発と独自ルートの輸送を断念し、貯蔵タンクの共用やバーター取引を行うようになった。

 その中で唯一、今も独自の添加剤を配合し、個別輸送しているのが出光昭和シェル(旧昭和シェル石油)のハイオク「Shell V-Power」だ。

 旧昭和シェルは19年4月に出光興産と経営統合したが、シェルブランドのガソリンスタンドでは今も沖縄県と離島を除き、全国でV-Powerを販売している。

 出光昭和シェルはV-Powerについて「旧昭和シェルの製油所から独自ルートで輸送しており、他社との混合やバーター取引などしていない」と説明する。

シェルのハイオクは国際商品

 旧昭和シェルは80年代からハイオクの開発と販売に積極的だった。87年に「フォーミュラシェル」、02年に「シェルピューラ」と新商品を次々と発売。現行のV-Powerは14年に発売し、「吸気バルブに付着した汚れを取り除き、重要なエンジンパーツを保護し、クルマ本来の性能が最大限発揮されるよう設計されている」と、独自性をアピールする。

 V-Powerは日本国内専用ではなく、開発には英オランダのロイヤル・ダッチ・シェルのエンジニアがかかわり、世界67カ国で展開する国際商品だ。

 一方、日本国内のハイオク開発でシェルの最大のライバルだったENEOS(エネオス)は、前身の新日本石油時代の02年に発売した「エネオスヴィーゴ」の販売を18年9月末で終了した。

 業界トップのエネオスさえも、コスト削減のた…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部