経済記者「一線リポート」

安倍政権「骨太の方針」コロナで消えた財政黒字化目標

森有正・毎日新聞経済部記者
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「骨太の方針」を決定する閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎財務相=首相官邸で2020年7月17日、竹内幹撮影
「骨太の方針」を決定する閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎財務相=首相官邸で2020年7月17日、竹内幹撮影

 安倍政権が今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を7月17日に閣議決定した。新型コロナウイルス感染症への対応で遅れが浮き彫りになった行政のデジタル化と、頻発する災害への対策強化が大きな柱だ。

 経済記者として、必要な政策は理解できる。問題はコロナ対策で膨れ上がった財政をどう立て直すかだ。今年の骨太の方針では、前年まであった具体的な財政健全化目標の記述が消えてしまったのが気になる。

 安倍政権は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済対策のため、2020年度第1次補正予算と第2次補正予算で、財政投融資などを含め過去最高となる計約120兆円の財政支出を計上した。

 この財源の大半は国債だ。当初予算と2度の補正予算を合わせた20年度全体の新規国債発行額は、過去最大の90兆2000億円に膨らむなど、財政運営は厳しさを増している。

 歴代政権は、その年度の政策経費をどれだけ税収で賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化を財政再建の目標に掲げてきた。

 安倍政権は昨年末、20年度のPBの赤字を9・2兆円と予想し、25年度に黒字にすることを目標にしていた。しかし、20年度の実際の赤字は66・1兆円に拡大する見通しだ。

 昨年の骨太の方針には、25年度の国・地方を合わせたPBの黒字化を目指すという目標があったが、今年は一言も触れられなかった。

 その代わりに「デジタル・ガバメントの加速などの優先課題の設定とメリハリの強化を行いつつ、経済・財政一体改革を推進することとし、2020年末までに改革工程の具体化を図る」との文言が加わった。

 麻生太郎財務相は閣議後会見で…

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森有正

毎日新聞経済部記者

 1974年神奈川県生まれ。2001年毎日新聞社入社。長野、松本支局を経て、2006年から経済部で情報通信行政やIT企業、鉄鋼業界などを担当した。12年4月から中部報道センターで、トヨタ自動車や中部電力などを取材。19年4月から国の予算編成などを担う財務省を担当し、20年4月からキャップを務める。