高齢化時代の相続税対策

相続対策で仰天「86歳父の隠し事」47歳長男の悩み

広田龍介・税理士
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 Tさん(47)は3人兄弟の長男だ。昨年、父親(86)が軽い脳梗塞(こうそく)を起こしたことから、その相続対策について家族で真剣に検討することになった。

 Tさんの父親は、東京のオフィス街の一等地で賃貸ビル業を営んでいる。賃貸ビルは管理会社の名義にしており、相続対策を念頭に、管理会社の株式はTさんの父母が半分ずつ所有している。好立地にある不動産価格は近年上昇しており、それを反映して株式の評価額も相当高いものとなっている。

 さて、相続対策の懸案とは、この管理会社を誰がどう引き継ぐかだ。相続で株式を兄弟間で分けあえば、将来、経営方針をめぐって意見が対立し、事業運営が難しくなる可能性がある。そこで、株式の分散は避け、後継者を決めて、その家族が集中して株式を保有する方向が固まった。

 さらに話し合いの末、Tさんが後継者となり、さらにTさんの子へと引き継ぐことが決まった。Tさんの子は、Tさんの両親の孫養子に迎えることになった。

 父親が存命中、生前対策として、父親所有の株式を贈与や売買でTさんとその子に移し、さらに、父親が亡くなった後で、残る株式をTさんとその子に相続する計画だ。

 まず手始めに、Tさんの子の養子縁組の手続きを行った。これは区役所に届け出るだけで難なく済んだ。だが、その後に、思いもよらない事実が待ち構えていた。

 Tさんは後日、養子縁組が間違いなく成立したことを確認するため、父親の戸籍謄本を取った。すると、そこに知らない女性の名があった。

 その女性の「父の欄」にはTさんの父親の名があるが、「母の欄」にあるのはやはり知らない名だ。記載内容を読むと、出生地は東北になっている。出生年月日…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。