ニッポン金融ウラの裏

「かんぽ不正」見過ごした社外取締役も刷新すべきだ

浪川攻・金融ジャーナリスト
  • 文字
  • 印刷
記者会見で処分内容を発表する増田寛也・日本郵政社長(中央)。右は千田哲也・かんぽ生命社長、左は衣川和秀・日本郵便社長=東京都千代田区で2020年7月29日、宮間俊樹撮影
記者会見で処分内容を発表する増田寛也・日本郵政社長(中央)。右は千田哲也・かんぽ生命社長、左は衣川和秀・日本郵便社長=東京都千代田区で2020年7月29日、宮間俊樹撮影

 日本郵政グループは7月29日、かんぽ生命と日本郵便による保険商品の不正販売に関し役職員573人を処分すると発表した。同グループは「今回の処分は第1弾」と位置づけているが、信用が失墜した不正事件の「幕引き」にはまだ大きな課題があると感じている。事態を見過ごした取締役会の経営責任の取り方である。

 処分対象者は、2014年度から18年度に不正販売を行った一般職員と、監督責任のある幹部職員、それに営業部門を担当していた執行役員・執行役だ。悪質性が高いと判断した現場社員6人が懲戒解雇され、2人が停職になり、執行役員・執行役は報酬減額や厳重注意となった。ただし、不正が行われた当時、取締役だった者は処分対象にはなっていない。

3社長は昨年末に引責辞任

 日本郵政グループは昨年末、日本郵政の長門正貢氏をはじめかんぽ生命、日本郵便を含めた3社長が責任を取って辞任し、日本郵便の高橋亨会長も辞任した。鈴木康雄・日本郵政上級副社長も辞任したが、こちらは元上司の立場を使って総務省から情報を得ていたためで、不正販売とは別の理由だ。

 3社長は、いずれも「不正の実態を把握できるような情報が取締役会にあがってこなかった」という趣旨の発言を繰り返して辞めていった。「知らされなかったので、分からなかった」という理屈である。

 親会社の日本郵政と傘下のかんぽ生命、日本郵便にはそれぞれ取締役が10人程度から十数人いて、3社で30人ほどになる。その過半数が社外取締役だ。トップが知らなかったのだから、まして社外取締役は知らないのも当然で、「責任はない」のだろうか。

 この問題では、18年4月にNHK番組「クローズアップ現代+…

この記事は有料記事です。

残り780文字(全文1478文字)

浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。