食の情報ウソ・ホント

専門家が指摘「食品と健康」高校教科書これだけの誤り

小島正美・「食生活ジャーナリストの会」代表
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 文部科学省が検定している教科書の内容は、こと科学に関する記述であれば正確だと、たいていの人は思っていることだろう。だが、食品や健康に関しては不正確な記述がまかり通っていることもあるようだ。

教科書会社「著者も出典が分からない」

 食品や健康について、高校生はどんなことを学んでいるのだろうか――。遺伝子組み換え植物を研究している大阪府立大学の小泉望教授(生命環境科学)はこうした関心から、現在、高校で使われている「保健体育」(第一学習社・2017年度改訂)の教科書を読んで驚いた。「えっ」と思うような文章に出合ったためだ。

 「食品による健康被害」という見出しで、以下のような記述があった。

 「新たな不安としては、遺伝子組み換え食品があげられます。現在、遺伝子の配列を組み換えたり、新たな遺伝子を組み入れることで除草剤に強い品種など、意図した特徴を持つ植物を作り出すことが可能となりました。しかし、操作された遺伝子の影響で、人体が新たなアレルギー反応を引き起こす可能性も指摘され、議論・研究がつづいています」(102ページ)

 遺伝子組み換え作物は1996年に米国で初めて栽培され、以来、日本を含めて世界中で流通している。もちろんそれぞれの国の政府によって安全性が確認されたうえでの流通だ。これまで組み換え作物によるアレルギー被害など健康被害が確認されたことはない。

 それでは「新たなアレルギー反応を引き起こす可能性」「議論・研究がつづいています」という説明は何を根拠にしているのか。小泉さんは5月下旬、教科書会社に問い合わせたがその後の返答がなく、7月28日に再度問い合わせをすると、教科書会社の担当…

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小島正美

「食生活ジャーナリストの会」代表

 1951年愛知県犬山市生まれ。愛知県立大学卒業後、毎日新聞社入社。松本支局などを経て、東京本社・生活報道部で主に食の安全、健康・医療問題を担当。「食」をテーマとして活動するジャーナリスト集団「食生活ジャーナリストの会」代表。著書多数。