藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ペルー「マチュピチュ遺跡」へ観光列車でたどる絶景

藻谷浩介・地域エコノミスト
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マチュピチュ遺跡と筆者(写真は筆者撮影)
マチュピチュ遺跡と筆者(写真は筆者撮影)

 新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)で、海外に出られない今年の夏。「人生の思い出に」と計画していた、南米アンデス山脈のインカ文明遺跡への旅行を、泣く泣く断念した方もおられよう。そのような方、そしていつかは必ず行って見たいとお考えの方に向けて、アンデス旅行の体験を紹介したい。まずはペルーのマチュピチュ遺跡だ。

 2017年8月初旬。ボリビアの事実上の首都ラパスを訪問(「山上から発展 標高差800メートル“登山首都ラパス”」参照)した5カ月後。筆者は再び、南米アンデス地方への旅に出た。筆者の海外での興味関心は現地住民の生活ぶりにあるのだが、せっかくアンデスまで行くのであれば、インカ文明の遺跡も探訪すべきだろう。特に、かつてのインカ帝国の首都クスコの西方にある秘密都市マチュピチュの遺跡には、片道3時間以上かかる鉄道でしかアプローチできないという点に、興味をひかれた。

 だがその鉄道の切符は、ネットでは直販されていない。保全のために遺跡には入場者数制限があり、かつガイドの同行が義務付けられている。駅で切符を買おうとして失敗したウズベキスタンでの教訓(「ウズベキスタン 世界で二つだけの『二重内陸国』」参照)から、ペルーの首都リマにある日本人経営の旅行会社に手配を頼んだ。クスコに2泊する中日に、宿に荷物を置いたまま日帰りすることとし、クスコから列車での往復、クスコ側の駅までの送迎、現地ガイド料で、計2万2000円を支払った。

 クスコ市街の宿に男2人の迎えが来たのは、早朝6時だった。家族経営の、2泊で7500円の宿は親切にも、その前に朝食を準備してくれた。列車が出るポロイ駅までは西に15…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。