「コロナ危機」経済の視点から

三越伊勢丹社長「コロナ禍を機に慢心を切り捨てる」

毎日新聞経済部
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インタビューに答える三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長=東京都新宿区で2020年7月14日、内藤絵美撮影
インタビューに答える三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長=東京都新宿区で2020年7月14日、内藤絵美撮影

 新型コロナウイルス感染拡大による急激な景気悪化にどう対応すべきでしょうか。経営者や有識者に提言を聞きます。今回は、国内で百貨店21店を展開する三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長です。【聞き手は毎日新聞経済部・町野幸】

「店舗ありき」から抜け出せていなかった

 新型コロナで店舗の売り上げは激減した。個人消費が戻るまでには時間がかかると思う。冬の賞与の平均支給額はおそらく相当減り、このままだと2021年夏の賞与も期待できない。個人消費の戻りは早くても21年末ごろになるのではないか。

 一方で、従業員の意識がデジタル化に向けて一気に変わったことはプラスだ。人口減少やデジタル化の流れの中で店舗の力は弱まっていく。社長として以前から「デジタルに比重を移さざるを得ない」と繰り返し発言してきた。しかし、伊勢丹新宿店、三越日本橋本店、三越銀座店といった老舗店舗の力は強く、「店舗ありき」から実際は抜け出せていなかった。

 今後、店舗の役割は劇的に変わるだろう。物を買うだけならインターネット通販で済む。店舗を「行くのが楽しみな場所」「体験できないサービスのある場所」に作り替える必要がある。定番ブランドが並んでいるだけで客が来る時代ではなくなった。

店舗が持つコンテンツを発信

 我々は店舗に面白いコンテンツを山ほど抱えており、デジタルで発信すれば評判になるはずだ。例えば、ランドセル売り場の販売員は約100種類の商品の特徴をすべて語れる能力があり、この販売員の動画をアップしたら面白い。食もそうだ。伊勢丹新宿店には、人気料理人たちが食材やレシピを紹介しながら料理を提供するスペース「キッチンス…

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経済の動きを追う記者の集団。金融市場の動き、企業動向、政府の経済政策や日銀の金融政策を日々追跡している。ワシントン、ロンドン、北京にも経済の専門記者を派遣している。