
大手携帯電話事業者3社が5Gのサービスを3月に始めたが、契約数は伸び悩んでいる。NTTドコモは、6月までの第1四半期で15万契約を獲得。8月1日時点で24万契約に達したが、21年3月の目標250万契約の10分の1に満たない。KDDIやソフトバンクは、5Gのみの契約者数は非公開だが、ドコモより数字は少ないとみられる。
狭いエリアと高いスマホ端末
5Gが伸びない理由は二つある。一つ目はエリアの狭さだ。主に使用されている周波数帯は3.7ギガヘルツ帯や4.5ギガヘルツ帯と周波数が高く、一つの基地局がカバーできる範囲が狭い。
3.7ギガヘルツ帯は、衛星が使う周波数との干渉もあり、特に屋外だとエリアを広げにくいのも課題だ。3月の開始時よりはエリアも広がったが、東京都内でも、ようやく主要駅の周辺などでつながるだけだ。
二つ目の理由は端末価格。8月までに発売されたスマホやWi-Fiルーターは、ほとんどが高機能モデルで10万円を超えるものが多い。昨年10月に電気通信事業法が改正されて割引が規制されたことから、スマホを買い替える利用者の多くが、高機能端末を避けて価格の安い中位機を選んでいる。
例えばKDDIは、4月に発売した廉価モデルのiPhone SEが人気で、販売単価は落ちているという。売れ筋の端末が4Gにしか対応していなければ、必然的に5Gの契約者は増えづらい。
新型コロナが追い打ち
ここに、コロナ禍が追い打ちをかけた。緊急事態宣言中は、大手携帯電話事業者は店舗の機能を大幅に縮小。来店は予約が必要になった。各社ともオンラインでの販売を強化していたが、店舗での減少分をカバーしきれなかった…
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