海外特派員リポート

日産「スペイン工場閉鎖」現地で見た従業員の苦悩

横山三加子・毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
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日産のモンカダ工場前で抗議する従業員ら=スペイン・バルセロナ近郊で7月27日、横山三加子撮影
日産のモンカダ工場前で抗議する従業員ら=スペイン・バルセロナ近郊で7月27日、横山三加子撮影

 日産自動車は8月5日、今年末で閉鎖する方針を示していたスペイン・バルセロナの3工場について、閉鎖を1年先送りし、2021年末とすることで労働組合側と合意した。日産の工場で働く従業員や地域経済がどうなっているのか気になり、ロンドンから現地を訪れ、取材した。

 閉鎖対象の工場では5月初旬以降、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、従業員が3カ月にわたって抗議活動を続け、会社側の譲歩を引き出した。だが、工場閉鎖後の新たな企業誘致や雇用確保といった課題は残ったままだ。

息の長いストライキ

 「日産を閉鎖させるな!」。強い日差しが照りつける7月27日午後、バルセロナ近郊の日産モンカダ工場の前では、20人ほどの従業員が拳をふり上げていた。抗議活動として、工場のフェンスには従業員の作業着がくくりつけられ、背中には日本語で「未来」と書かれたものもあった。

 「新型コロナで身内を亡くした同僚もいる。ただでさえコロナで大変なのに、輪をかけて工場閉鎖という決定がされた。残酷なやり方だ」。モンカダ工場前で憤るのは、閉鎖対象となった別の工場で働くエドゥアルド・テナさん(39)だ。テナさんは「自分の人生は自動車づくり以外考えられない。闘うしかない」とも話した。

 自動車の基板材料を生産するモンカダ工場のストライキにより、材料調達ができない別の2工場も生産がストップした。モンカダ工場前で5月から続く抗議活動は事実上、閉鎖対象の3工場の取り組みだ。賃金が支払われる2工場の従業員らによる基金でモンカダ工場の従業員の生活を支え、息の長いストライキを実現してきたからだ。

閉鎖は1年先送りに

 日産がバルセロナに生産拠点を…

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横山三加子

毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。