高齢化時代の相続税対策

“勉強熱心”87歳大地主が22年越し「理想の相続対策」

広田龍介・税理士
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 自宅に広い敷地があったHさん(87)は22年前、その土地を有効活用しながら、所得税や相続税の対策ができる方法はないかと考え、賃貸住宅経営に乗りだした。

「資産運用」練り上げた方法

 Hさんは勉強熱心なタイプだ。当時、資産活用の本を読んだり、金融機関や不動産会社のセミナーに参加したりして、知識や情報を身につけながら、自分なりの方法を練った。そこで行き着いたのは「不動産管理会社を設立し、その会社に賃貸業務を委託するのがいい」という結論だった。

 Hさんが練り上げた手法とは、次のようなものだった。

 (1)まず、不動産管理会社を設立する。役員にはHさん夫妻が就き、将来、会社の後継者となるHさんの娘も出資する。

 (2)Hさんの所有地のうち、自分で使っていない1300平方メートルの土地をこの会社に貸し出す。

 (3)会社はその土地に、賃貸用の戸建住宅6棟を建築し、賃貸運営する。

 このときのHさんの狙いを説明しよう。

 会社を設立したのは、節税が目的だ。個人で賃貸経営をするとなると、所得税・住民税合わせて最高55%かかる。法人では、法人税や地方法人税など約30%に抑えられる。この税率差がメリットになる。

 住宅の建築資金は、その大半を銀行融資で手当てすることになった。その返済は賃貸収入による利益を充てることになる。会社が賃貸運営し、税負担が抑えられれば、そのぶん返済が早くなる。

オーナー社長の土地貸し出しは?

 オーナー社長が自分の土地を会社に貸す場合「借地権の認定課税」が問題になりやすい。権利金のやりとりがなかったり、地代を安くしてしまったりすると「会社が借地権をもらった」と認定され、それに課税…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。