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共働きの家計管理「若い世代」ほど夫婦それぞれの財布

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

共働きの家計学(1)

 共働き世帯が増えている。夫婦それぞれが稼ぎ手になり、世帯収入が増えるメリットは大きいが、家計の収支が複雑になり、それを誰がどう分担するかという家計管理のありかたが重要になる。現状を探った。

収入減リスクの備えにも

 総務省「労働力調査」によると、共働き世帯の数は1990年代半ばに専業主婦世帯を抜き、差は広がっている。2019年は共働き1245万世帯に対し専業主婦575万世帯。同年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると18歳未満の子を持つ世帯の72%で母親が仕事をしている。

 女性の就業は長らく、結婚・出産で離職し、子育てが一段落してからパートなどで復職し家計を支えるのが主流だった。17年の総務省「就業構造基本調査」によると、共稼ぎ世帯の30~50代の妻の60%は年間所得が200万円に満たず、その多くはパートだ。

 だが、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によると、ここ30年で、出産後も就業を続ける女性は増えており、正社員の率も上昇している。15年は出産後も53%が就業、29%は正社員だ。若い世代では収入差のない夫婦も増えてきた。

 共働きは、世帯収入を増やし、病気や失業などで夫婦のどちらかの収入が減ってもダメージを補える。新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が急減した家庭は多い。そうしたリスクに備える役割は改めて注目される。

 一方、夫婦2人が稼ぎ手になることで、支出をどう分担し、誰が管理するかがあいまいになりやすい。毎月の収支は運用できても、長期的な貯蓄ができなかったり、子の大学進学時などに費用が捻出できなかったりするなど、思わぬピンチが待…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。