身近なデータの読み方

コロナの影響をみる「超過死亡」6月以降の動きを注視

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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 日本ではこれまでのところ、新型コロナウイルス感染症の死亡者数は欧米諸国などに比べて抑えられている。ただ、公表される死亡者数だけでは、その影響をすべてとらえたとはいえない。病気の発生を統計的に扱う疫学では、もろもろの影響を含めた「超過死亡」の数を推定して、影響の大きさを把握する。今回は、超過死亡について考えてみよう。

1~4月は少なかった

 超過死亡はもともとインフルエンザの流行で直接もしくは間接に死亡した人数を推計するものとして、世界保健機関(WHO)が推奨している概念だ。日本でも超過死亡を調査し、シーズンごとのインフルエンザの影響の把握に努めてきた。毎年12月~翌年3月にかけて、東京23区と20の政令指定都市の超過死亡の数を国立感染症研究所(感染研)のシステムで把握している。

 政府は、このシステムを全国に拡大し、観測期間も延ばして超過死亡を把握することで、新型コロナの影響を見極めようとしている。結果は、観測期間の2~3カ月後に公表する。感染研は1~4月分の超過死亡を都道府県ごとに推定した結果を7月に初めて公表した。

 推定は2通りの方法で行われた。過去数年間の観測期間前後のデータを主に用いる、米国疾病対策センターが採用の「米国モデル」と、観測期間を含む過去のすべてのデータをもとに例年と同じ季節性が再現されると仮定して…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。