職場のストレス・マネジメント術

「仕事の失敗が尾を引き…」30代女性社員が陥った症状

舟木彩乃・心理カウンセラー
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 村田さん(仮名、女性30代前半)は、生命保険会社の広報部(15人)に勤務しています。村田さんの仕事は主に月刊の社内報の制作で、会社の新たな取り組みの紹介や、成績優秀な社員のインタビューなどを掲載しています。文章を書くことが好きという村田さんは、社員のインタビューを記事にまとめるまでの業務を任されていました。

 インタビューを担当して2年になりますが、彼女のページは好評でした。話を聞いて記事にすることが楽しく、多くの人から感謝されることにやりがいを感じていました。しかし、あるインタビューをきっかけに、村田さんは一気に自信をなくしてしまうことになりました。

 インタビューをしたある社員から「そんな知識不足の質問で記事にされても困ります」と言われ、何度も書き直すはめになったのです。なんとか完成させて締め切りに間に合わせたものの、その件がきっかけで彼女は激しく落ち込み、遅刻や休みが増えました。

 心配したA部長(男性50代前半)は「勉強になったと思って次に生かして」と励ましましたが、彼女はそれを「勉強不足と言われた」と受け取ったようで、ますます落ち込んでしまいました。

 その件以来、村田さんは心がつらいだけでなく、体が鉛のように重く感じられて疲れやすくなり(鉛様まひ)、十分な睡眠時間をとっているのに眠くてたまらない状態(過眠)が続きました。心身の状態は仕事にも影響し、次号のインタビューに着手する時期がきても回復せず、A部長の承諾を得て同僚に代わってもらったそうです。

 しかし、好きな友人との食事会や趣味のパン作り教室に行くときは、心身とも急に元気になりました。一方で、同居している家族が心配して…

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舟木彩乃

心理カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。カウンセラーとして8000人以上、コンサルタントとして100社を超える企業の相談に対応。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。