経済記者「一線リポート」

「腕時計いらない?」スマホに次いで業界を襲うコロナ

土屋渓・毎日新聞経済部記者
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セイコーのダイバーズウオッチ55周年記念の新商品。腕時計のライバルはスマートウオッチか=セイコーウオッチ提供
セイコーのダイバーズウオッチ55周年記念の新商品。腕時計のライバルはスマートウオッチか=セイコーウオッチ提供

 新型コロナウイルスの感染拡大で多くの人が外出を控えるようになり、いろんな商品や産業に影響が出ている。時計業界にもコロナの影響があると聞き、現状を調べてみた。

 時計市場は腕時計が大半を占める。時計の本場、スイス製腕時計の輸出本数は2000年に2965万本だったのが、19年は2064万本と10年で約3割も減っている(スイス時計協会調べ)。

 市場縮小の背景は大きく二つある。1つは00年代以降に急速に広まった携帯電話やスマートフォンの普及だ。日用品の消費データを分析するプラネット社が18年に行った調査では、30代の男性の28.5%、女性の33.3%が腕時計を持っておらず、理由については約7割が「スマホや携帯を見れば時間が分かる」と回答した。

 時計業界を揺るがしたもう一つの波は、15年発売の「アップルウオッチ」に代表されるスマートウオッチの登場だ。小型のタッチスクリーンとコンピューターを搭載した腕時計型の多機能ウエアラブルデバイスで、セイコーウオッチの担当者は「ここ数年、スマートウオッチがシンプルなクオーツ時計の需要を奪っている」と指摘する。

 スマホやスマートウオッチの普及は低価格帯の時計市場を侵食した。スイス時計協会の統計を見ると、200スイスフラン(約2万3000円)未満の低価格帯の輸出本数は00年の2279万本から19年は1162万本に半減している。

 そんな中でも高級時計は「文化や歴史、芸術的な価値がある」として、中国を中心に富裕層のステータスシンボルとして堅調に伸びていたが、新型コロナの直撃を受けた。百貨店などの店舗は世界各地の都市封鎖(ロックダウン)などで休業し、日本では頼りにしてきた訪日外国人旅行者が途絶えた。そもそも人が出歩かなくなり、腕時計を付ける機会も減ってしまった。

 こうした中、シチズン時計が…

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土屋渓

毎日新聞経済部記者

 1977年、ドバイ生まれ。2002年早稲田大法学部卒、毎日新聞社入社。水戸 支局、東京本社学芸部などを経て14年から経済部。証券業界、日銀を担当。16~17年 は大阪本社経済部で電機メーカーなどを取材。18年に東京経済部に戻り、経産省など を担当。20年4月から製造業、商社・流通、重工業、財界などを取材するグループの キャップ。