メディア万華鏡

コロナ禍でも「夢を売る」ファッション誌の存在理由

山田道子・元サンデー毎日編集長
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ファッション雑誌はラグジュアリーな世界観で「夢を売る」と言われるが
ファッション雑誌はラグジュアリーな世界観で「夢を売る」と言われるが

 ともすれば不要不急の最たるものの一つとされかねないファッション。それを扱う雑誌となればなおさらだ。「コロナ時代に現実とかけ離れた『夢を売る』ファッション雑誌は必要か?」と投げかけたのは、オンライン雑誌クーリエ・ジャポン(4月22日配信)だ。

 今春コロナ禍が深刻だったイタリアでは、「VOGUE」が4月号の表紙を白紙で発行した。国内での死者の増大を受けて急きょ差し替えた。イタリア版「VANITY FAIR」は表紙に、最も被害が甚大だったベルガモという都市の病院で働く専門医を起用した。カメラマンと助手だけで撮影したという。

 ラグジュアリーな世界観を軸にしてきたファッション誌は、これまでは現実とかけ離れていたほうが好まれた節があったが、今は社会での存在を問われている、とクーリエ・ジャポンの記事は指摘する。

日本のファッション誌も直撃

 コロナは日本のファッション雑誌も直撃した。光文社は、看板の「JJ」「CLASSY.」「STORY」「VERY」などの6月号と7月号を合併号として発行。集英社も「MORE」「eclat」など7ファッション誌の6月号と7月号を合併号にした。

 両社とも「通常の取材・編集・制作が困難」などと説明した。誌面では、服や靴だけの写真や過去の掲載写真の再利用が目立った。

 ネットやSNSの広がりで広告や読者が減っていたところに、「ファッション誌そのものの存在意義が問われるという、違う打撃が加わってしまった」と元「an・an」編集長の跡見学園女子大の富川淳子教授は語った(朝日新聞デジタル4月17日配信記事)。

 各誌の9月号では、「9月のリスタート きれいめ服プラン」(VERY)…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。