経済プレミア・トピックス

孫氏の兵法は「何でもあり!?」アーム売却検討は本気か

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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ソフトバンクグループの決算発表をネットで行う孫正義会長兼社長=2020年8月11日、同社ホームページから
ソフトバンクグループの決算発表をネットで行う孫正義会長兼社長=2020年8月11日、同社ホームページから

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、巧みな話術と演出で聴衆を引き込む不思議な魅力がある。でも注意が必要だ。記者会見の最中は「なるほど」と納得しても、後で振り返ると「あれっ、本当?」と、首をかしげたくなる時がある。8月11日の2020年4~6月期の連結決算発表会見も、そんな「孫正義ワールド」が満載だった。

「資産売却は必ず達成する」

 決算会見の冒頭、孫氏は映画の1シーンを映した。武田氏の騎馬軍と織田信長の鉄砲隊が戦う場面だ。孫氏は「世界中でコロナの問題は解決していない。毎日が戦いだ」とコメント。騎馬軍に向かう鉄砲隊を例に「防御は、戦いに欠かせない。投資会社に生まれ変わった当社の防御とは現金だ。現金をしっかり用意することで守りを固められる」と主張した。

 これは同社の株価が低迷した今年3月、自己株式取得と有利子負債圧縮のため、最大4.5兆円の資産売却計画を発表したことを指している。孫氏はこの日、既に株式売却などで4.3兆円を資金化しており、「4.5兆円を必ず達成する」と胸を張った。さらに「言ったことは必ずやる。達成のめどがついたので、代わりの目標を発表することはあるかもしれないが、原則として必ずやる」と述べた。

 「必ずやる」という発言は本当だろうか。聞いていて疑問がわいた。孫氏が16年…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部