高齢化時代の相続税対策

東京郊外の農家「土地の相続税5000万円」長男は?

広田龍介・税理士
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 東京都内の郊外にあるKさん(52)の家は代々農業を営んできた。長男であるKさんは大学卒業とともに一般企業に就職し、結婚後も実家で父母と同居してきた。父(78)と母(76)は高齢になっても畑仕事を続けている。

介護施設に入った父

 その父の体調が悪くなった。しばらく入院し、その後、介護施設に移ったが、意思能力はあるものの、体は思うように動かせないような状態だ。

 父に万一のことがあったとき、相続人となるのはKさんと母、別居する妹(48)の3人だ。その時が来たらどうするか、真剣に考えなければならなくなっている。

 父の相続財産のほとんどは広大な農地だが、東京都内とあって、地価は相当高くなっている。Kさんは以前から、相続税の負担がどのくらいになるかを心配していた。

 だが、昔かたぎの父は、代々続く農家を守り抜いて、地所を守ることばかりを考えており、相続対策などにはまったく関心がなかった。Kさんが「そういう時代じゃないよ」と意見しても、まったく耳を貸さず、相続対策を何もしないまま、ここまで来てしまった。

 Kさんは地元の農協に相談してみた。すると、父の相続財産評価額は約3億円、相続税額は約5000万円と見込まれるという。Kさんら家族にはとてもそんな納税資金はない。

 父が体調を崩してから、高齢の母一人ではとても畑仕事を続けることはできなくなった。Kさんも会社を辞めてまでして、いまさら農家を継ぐ気持ちはない。

 休耕地になった農地には、またたく間に雑草が生い茂ってしまった。やぶ蚊が発生したり、火災の原因になったり、近所の迷惑になりかねない。そこで親戚に頼み込んで、雑草取りをしてもらっている。

 この…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。