いま地球環境を考える

酷暑の夏「天気の子」を見て考えた未来の東京とは

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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米国の「天気の子」のプレミア上映会場は熱狂的なファンで埋め尽くされた=米カリフォルニア州ハリウッドで2019年10月18日、福永方人撮影
米国の「天気の子」のプレミア上映会場は熱狂的なファンで埋め尽くされた=米カリフォルニア州ハリウッドで2019年10月18日、福永方人撮影

 全国各地に大雨・洪水被害の爪痕が残る中、日本全体が酷暑にあえいでいます。もはや日常となりつつあるこの異常気象の中、遅ればせながら、昨年大ヒットした新海誠監督のアニメ映画「天気の子」を見ました。

 ファンタジーなエンタメの「ボーイ・ミーツ・ガール」の話だと思って見たところ、科学的に正確な気象の知見に裏打ちされ、地球温暖化の進展した世界を描いていて圧倒されました。

実感として迫る

 映画の公式サイトによると「天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄(ほんろう)される少年と少女が自らの生き方を選択するストーリー」ですが、明らかに地球温暖化が進んだ未来の東京を描いています。

 温暖化が進展すると、降水量が増え、海面上昇と相まって海抜の低い都市は水没していきます。東京の荒川周辺など海抜ゼロメートル地帯から水没していく様子が実に正確に描かれており、実感として迫ってきます。

 それなのに、地球温暖化や気候変動などという言葉は、映画はおろかプロモーションにも全く出てきません。この映画についての昨年の国内報道でも、地球温暖化と関連付けた記事はあまりありませんでした。

海外に届いたメッセージ

 一方、世界的な人気を誇るこの映画、調べてみると、アメリカ、イギリスなど欧米からインドに至るまで各国で新海監督のインタビューがあふれています。そのほとんどが映画が描く「地球温暖化」のメッセージを大きく取り上げているのです。

 たとえば主人公の少女をスウェーデンの若き環境活動家グレタ・トゥーンベリさんになぞらえ、「少年少女の主人公たちによって、強い環境問題のメッセージを若者に向けて発しているのか?」などと問いかける…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。