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共働きの家計管理「三つの落とし穴」を避けるには

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

共働きの家計学(2)

 夫婦が稼ぎ手となる共働き世帯の家計は、収支全体の動きが見えなくなり、支出が増えたり、貯蓄ができなかったりする「落とし穴」がある。家計をうまく管理するポイントを考える。

お金の会話「できていない」が4割

 共働きの家計管理には、三つの落とし穴があるとされる。

 一つ目は、夫婦間で家計状況を共有しにくい実態があることだ。

 スマホの家計簿アプリを開発・運営する「オシドリ」(本社・東京都渋谷区)は2019年9月、25~39歳の既婚(婚約含む)女性817人に調査したところ、家計が「(夫婦)どちらも管理できていない」とするのは、専業主婦世帯では10%だが、共働き世帯は17%と高かった。夫婦間のお金の会話について、共働き世帯の41%が「できていない」とし、74%は「もっと会話をしたい」と回答した。

 二つ目は、支出が膨らみやすい傾向があることだ。

 総務省「14年全国消費実態調査」で、共働き世帯の約4分の1を占める「夫の年収600万~800万円」の世帯について、妻の年収層別に1カ月あたりの収支の動きをみると、妻の年収が高いほど当然、世帯の可処分所得は増える。妻の年収600万~800万円層の可処分所得は67万6500円で、年収400万円未満層47万4200円の1.4倍だ。

 一方、支出は、妻の年収600万~800万円層は70万4600円で年収400万円未満層の46万3300円の1.5倍。妻の収入が高いほど、入るお金より出ていくお金の割合が高まる傾向がある。項目別では、外食1.6倍▽洋服1.7倍▽交際費2.1倍▽教育関係費1.6倍――などが高い。

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。