
結局、このお盆に就活にかかわる多くの人は休みは取れなかったのではないか。2021年春卒業予定の就活生も、企業の採用担当者も、そして、私たち大学の就職支援担当職員も。
のんびりできたのは、第1希望の企業から早々に内定をもらった学生と、人員計画に必要な数の内定者を確保し、学生から「内定承諾書」の提出も受け、「今年度の採用は充足」となった一部の優良企業だけだろう。
面接官にどこまで正直に答えるか
私が勤務する大学の就活支援部門は、この夏、ずっと休みなしで業務を続けている。もちろん、職員にも家族はいるので、「ブラック職場」と言われないよう、表向きは交代で休みを取ることにしている。しかし、就活生からは、常にメールや電話で「悩み事相談」は寄せられるし、エントリーシートの添削や面接の練習の要求も、今の時期でも途切れることはない。このため、出番の職員が対応しているほか、名指しで連絡があれば、本来は休みでも相談に乗っているのが実情だ。
この時期、企業の面接官から聞かれる質問で多いのは「他社の選考状況」だ。8月末にもなれば、「内定が一つもない」就活生はそれほど多くない。となると、どこまで正直に現状について話をするか、あるいは多少の脚色をするのか--で悩む。
内定をいくつも抱えている学生は、それをそのまま伝えると、「どうしてそんなに内定を抱えているのか。自分では決断できないのか」と聞かれることがある。さらには「その複数の内定先に迷惑をかけていると思わないのか」と説教されたりもする。面接を行っている企業の採用担当者にすれば、「うちは最終的に蹴られるのでは」と心配するようだ。
一方、一社も内定がない…
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都内・某共学大進路指導担当
東京都内の共学の大学の「キャリアセンター」に勤めるベテラン大学職員。大学生の就職活動の支援や、進路指導を担当している。