
ジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)が、米民主党の大統領・副大統領候補に正式に指名されました。今年11月の選挙に勝利すれば、ハリス氏は複数の人種(multiracial)にルーツを持つ米国初の女性副大統領となります。
日本の報道では「黒人女性」という一面が強調されがちですが、ハリス氏は中南米ジャマイカ人の父とインド人の母のもと、オークランド(カリフォルニア州)に生まれました。両親とも1960年代に留学生として米国に渡ってきた移民です。ハリス氏が7歳のときに両親は離婚。その後は母と暮らし、インド南部に住む母方の家族の影響も受けて育ちました。
オバマ氏と似た生い立ち
ハリス氏の生い立ちはオバマ前大統領と似ていると言われます。オバマ氏はケニアからの留学生だった父を持ち、両親の離婚後に主に過ごしたハワイでは、白人の母とその家族に育てられました。
2人とも米国の黒人の主流である「奴隷制の時代にアフリカから米国に連れてこられた人々」を直接のルーツに持ちません。そして黒人の父と離れ、育ての親である母の影響を強く受けています。
それだけに、ハリス氏が黒人のための高等教育機関をルーツとする名門、ハワード大学に進学したのも、オバマ氏が大学卒業後、シカゴの貧しい黒人街で仕事を始めたのも、どこか共通したものを感じます。自分の中にある「黒人としてのルーツ」を探し求めたのではないでしょうか。
米国の人種(race)は黒人と白人の構図で捉えられがちでしたが、現在はより多様で複雑になり、一言で「自分が何者か」を表現するのは難しくなりました。ハリス氏はこの多様性(div…
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